Sunday 10 April 2011

原発

自分向けのまとめです。

福島ではなくて、TEPCO原発事故と呼ぼうってな話も。状況は安定してきてはいますが、厳しい状況には変わりはない。時間単位は数カ月から数年、そして数十年。そういう長期戦です。東電の後始末とかじゃなくて、国土防衛として対処して欲しいと思う。

3/15 に大量の放射性物質が漏れたことは確か。その後は、大量には出ていないらしい。ヨウソとセシウムが検出しやすいので注目されてますが、どちらも人への影響は限定的らしい。どちらかと言うとストロンチウム90の方が骨に入り込むのでまずいのだが、あんまり報告されてない。計ってないと思われる。ただ、外に出にくいのではないかってな話はある。測定して欲しいです。質量分析器で見ないとわからないか。

 http://www.cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/8.html

僕の印象では、政府や東電の発表に嘘はない感じ。でも、発表してないことはある。それが意図的なものとは思わないが、そこを突っ込むのが記者の役割だと思う。例えば高レベル汚染水が結構出ちゃったんだけど、その総量はどれくらい? 広がる範囲は? 概算ぐらい出せよ。

大気の方は風まかせで、シミュレーションとかは所詮シミュレーション。ただ、偏西風があるので大半は太平洋に行ったらしい。数少ない幸運の一つ。でも、放射性物質は隠せないんだから、計れば良い。政府が信用できないなら自分達で計るべきだと思う。いまもだだ漏れているってことはないらしい。でも、今後ないとは言い切れないところがなぁ。

いまだに臨界臨界と騒いでいる人達がいるみたいだけど、根拠ないと思う。燃料が融けて固まっているなら中性子は減速されないので連鎖反応しないし、水で減速される状況なら制御棒や硼素が阻止しているはず。もっとも、中身が見れないので、炉の中の状態が不明だから、そんな噂がでる余地があるのだとは思う。再臨界でググッて引っかかるものの大半は誤訳が原因のデマ。

僕的には、4号機の爆発の原因が疑問。こっちも臨界説とかでてました。燃料露出で水素爆発とかの説もあるけど考えにくいです。燃料プールは水足せば良かっただけなはず。でも、燃料プールへの放水は3号機の方が優先だった。ってことは水の問題らしくない。3号機の爆発に関係しているのだろうけど。いろいろトンデモ説は思い付くが… そもそも密集させすぎなんだよ。

津波の想定が5mだったってのを非難するのは簡単だけど難しいかなぁ。市街地の堤防も5m想定が多かった。女川とか福島第二は15mの津波に耐えているので、津波に耐える原発を作ることは可能だってのはわかった。でも、90年代のfjでの議論の中心だったECCSの信頼性の疑問は、もっとも悪い形で示された。一方で、炉心融解しても圧力容器内に燃料は閉じ込められるってのは、確かにそうだった。完全に閉じ込められているわけではないけど。

福島第一で問題だったのは外部電源の接続部分が水没したことだったらしい。ディーゼルエンジンが水冷だったとか、燃料切れやったとか、いろいろ設計ミスやら運用ミスやら… 福島第二も電源断を食らったが、そちらはディーゼルエンジンを復帰できた。作りなおさないとダメと言うよりは、シミュレーションで欠点を見つけて改良することは可能だった。1号機は古いので止めるべきだったが、それをちゃんと指摘できなかったのはまずかった。

多少的外れとはいえ、それを指摘したのが赤旗だけだったってのは、ひどい。メディアが操作されていたというよりはスポンサーなんだからしょうがない。今でもNHKの報道が比較的まともなのは、スポンサーの関係だよね。こういうのは、なんとかしないとダメだと思う。

水素爆発を想定してなかったってのはないと思う。建屋自体が、それを想定して作られていて爆発を外に逃すようにできている。炉心には水素と酸素を再結合する装置もある。ただ、酸素が燃料容器の金属に取られると水素が残ってしまうと言うことらしい。ベントが引金であることは確か。ベントの装置が電動で動かなかったり、フィルタがなかったりとか、そんなのも設計の古さが原因だった。

日本には58機も原発があって、70-80年代に、そういう決断をしたわけ。自然エネルギーとか火力で十分とかいう話も聞きますが、今の人類の成長状況に対応できる速度ではなかったのだと思う。脱原発を主張するならエネルギー消費を抑えて見せること重要。 自然エネルギーでちまちま生き残るってのは、人類は20万年ぐらいやってきているんだよね。そこに戻ることに意味があるのかは、ちょっと疑問。もちろん、この状況がずーっと続くとは思わないけど、19世紀にエネルギー消費を選択したことは確か。それを宗教的な選択と言うこともできる。

火力と総合収支はトントンだと説もありますが、80年代の議論でもトントン説はあった。でも、その議論は石油やLPGの値段による。逆に言えば、原発と同等になるまで値段を下げているとも。日本が原油価格に比較的左右されなくなったのは原発があったことが大きい。備蓄もそうだけど。

技術は進歩するものなので新しい原発の方が安全なことも確か。ABWRとかAPWRとかだと、電源喪失でも自然冷却可能な設計だったりするようです。なので、70年代に建設したものの安全性を調べることが必要だと思う。

安全な原発を作って、ちゃんと廃炉することは僕は可能だと思うけど、それが今通る意見だとは思わない。でも、無条件な脱原発も通る意見だとは思わない。一つは、止めても止めなくても安全性/危険性はそんなに変わらないから。冷却を失えば状況は同じ。だったら、安全性を高めてエネルギーを取り出した方がましだと思う。

廃炉のコストは無視されていたわけではなくて、90年代にも議論されていた。事故原発の廃炉コストは確かに高く付くが、普通の場合に比べて10倍とかではないと思う。2倍いかないかも。後回しにされていたコストがこれから明らかになるというわけ。

ただ、保安院とか東電とかの対応を見ると、原発を安全に運用することができるという意見が能天気に見えることも確か。でも、さすがに記者会見は、まともになってきた? 人や組織は危機で育てられるもの。それに期待したいです。これから長期に渡って、いろいろやらなければならないわけだから。

 福島第1原発:「燃料棒除去の着手まで10年」 http://bit.ly/dEYqLT

とりあえず安定的に冷却できるようにして、ちゃんと放射性物質の閉じ込めを実現して欲しいです。

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