Saturday 16 September 2006

複素解析



久しぶりに暇なんで、数学の話をもう一つ。僕が使った本はシュワルツの代数学。これも、あんまり良い選択肢とは言えなかったんだが...



複素解析なんていうださださな名前が付いているが、数学のもっとも美しい理論の一つ。予定調和の嵐というか、ハッピーエンドの映画というか、理論自体の持つ幾何学的美しさってのがある。それに「あんまり難しくない」しね。計算が易しいので。理論的に美しく、しかも、成果があり、実用性もある、ってな数学理論は他に類を見ないとも言えると思う。



理系なら大学初年度で教えるはずだが... 面白く教えてくれるところは少ないよね。大学の授業で聞いた時には、つまらないなと思いました。一つは、同時に教えるものが、数学のもっとも分かりにくく、つまらない概念である「εδ論法」だからだと思う。胡散臭くて、実は、役に立たなくて、それでいて、計算が面倒というしろもの... 今だと、もっと便利な無限小を扱う手法があるのにね。まぁ、超準解析教えるわけにいかないのはそうなんだろうけど。



複素解析自体は、複素数が二つの実数からなるベクトルだというのがわかると、二次元ベクトルから二次元ベクトルへの関数を調べるのとほとんど同じだというのがわかります。ってことは、つまり、二次元の曲面の傾きみたいなものだ。等高線の入った地図みたいなもの。で、道を歩いた結果が積分で、歩き方が微分だってな感じ。x + Δx ってのが、一つの地点から、廻りをぐるっと見回す(Δx はベクトルだから) というように見えると、複素解析の基本は理解できたことになる。



「山の斜面は平面だから平面の方程式が成り立つ、ax + by = 0」 ってのが、コーシーリーマン方程式だし、 「どんな道をたどって歩いても元の場所に戻れば高さは同じ 」ってのがコーシーの積分定理に対応するわけなんで、ほとんど覚えるものがない。



最初に考えた疑問が、あらゆる綺麗な結果が出て来る原点である「コーシーリーマン方程式」がなんで成り立つんだよ! ってことだった。実は、複素関数が微分可能ってことは、微分した値として単一の複素数値を持つ、つまり、複素数の二次元の方向のどっちを見ても、一つの複素数で表された単一の平面の傾きを持つってことなんだよね。それは、コーシーリーマン方程式そのものじゃん。だから方程式であって、定理じゃない。つまり、その方程式が成り立つ関数しか扱わないって学問なんだよ。調和関数しか扱わないんだから、そりゃ綺麗な結果が出るわけさ。



綺麗な話には裏があると思った理論でもありました。

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