Saturday 18 February 2006

iPod の公正利用と私的利用



なんか、iPod へのCDのリッピングは公正利用ではないとかいう記事が出てる。このあたりは、fj で結構議論したなぁ。

日本の著作権法には公正利用(Fair use)っていう概念はないです。そう、これはアメリカの法律の専門用語。一般的な公正っていう意味じゃない。そのあたり記事が説明しないのは良くないと思う。公正利用ってのは、著作権者に有利になるよな利用法(例えば、CDショップでCDをかけるとか)を指すんだよね。

一方で、アメリカにはなくて日本にある概念が私的使用のための複製。自分で使う分には複製してよいってわけ。この当たりは、カセットやビデオの影響が大きい。アメリカでは、「Sony case」っていう家庭ビデオの録画が正当かどうかっていう訴訟があって、Sonyが勝訴して、録画が許されるようになった。その時の理由はもちろん「公正利用」であって、「私的利用のための複製」じゃない。つまり、ビデオの役割は「Time shfit」だから、公正利用の一部だっておもわれたわけ。

一方で、日本ではメーカーの意向が強かったから明示的に複製を容認したわけだ。なので、日本では CD リッピングが公正利用かどうかは関係ない。そのCDがレンタルCDだろうと買ったものだろうと、私的利用のために複製するなら Ok。

でも、著作権者側(ってよりは音楽ブローカー側)がお金を取りたいのは当然なので、いろいろ課徴金の仕組みが出て来たことは確か。逆に、課徴金をハードウェア、メディアにかけるのであれば、積極的に使って良いってことでもある。でも、メーカーは値段を上げたくないから抵抗するわけだね。

アメリカの発想は契約だから、複製を許すかどうかは契約によるってわけで、公正利用だったら自動的に許されるけど、そうでなければ、許諾の問題になるってことなんだよね。それは許諾の仕組みのコストによると思う。音楽ブローカー側が官僚化するのは、ある意味で仕方ないのだが、それは僕は「技術的に」解決されるべきだと思う。

一方で、録画制限みたいなものを「技術的に」解決するのは間違っている。全体的に流通や市場原理を促進する方向に技術は使うべき。コピープロテクトみたいなものを進めるのは、そういう意味で間違っている。技術は、不要な官僚的制限を解消するために使うべきだと思う。個別の許諾と課金で済むなら、それを解決する方向で技術を使う方が良い。

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